経営判断に影響する「お金の認知バイアス」

行動経済学や心理学が好きな佐光です。


「悩み事ないよね?」と言われることがありますが、実際には経営や人間関係、お金のことなどで悩んだ時期もありました。
 

これまで仕事柄、多くの経営者や個人事業主の方とお話しする機会がありました。

また、私自身も2006年に起業して以来、さまざまな経験をしてきました。

若い頃は「成功している人の考え方を知りたい」と思い、高級ホテルに泊まることを趣味にしていた時期もあります。



実際に利用してみると、サービスの考え方や価格設定、顧客への接し方など、学ぶことはたくさんありました。

ただ、その一方で感じたのは、同じものを見ても人によって価値の感じ方が大きく違うということです。



ある人は「高い」と感じ、ある人は「妥当」と感じる。

また別の人は「安い」と感じることもあります。



仕事でも同じです。

同じサービスを提供していても、価格設定や投資判断、利益に対する考え方は人によって大きく異なります。

その違いは、能力や経験だけでは説明できないこともあります。



そこで興味を持ったのが、行動経済学や認知バイアスという考え方でした。

私たちは合理的に判断しているつもりでも、過去の経験や思い込みによって判断が左右されることがあります。

経営においても、お金に対する認識が意思決定に影響している場面は少なくありません。


今回は、そんな「お金の認知バイアス」について考えてみたいと思います。
 

お金に対する思い込みはありませんか?

仕事をしていると、お金に対する考え方が判断に影響している場面をよく見かけます。

例えば、

  • この価格では高すぎるのではないか
  • 値上げしたらお客様が離れるのではないか
  • 他社より高いと選ばれないのではないかいていいのだろうか


そんな不安から、本来の価値より安い価格を付けてしまうことがあります。

もちろん、お客様目線で考えることは大切です。

ただ、その判断が市場や価値ではなく、自分自身の思い込みから生まれている場合もあります。

行動経済学では、人は必ずしも合理的に判断しているわけではないと考えられています。

過去の経験や周囲の環境、自分の価値観によって、無意識のうちに判断が偏ることがあります。

価格設定もそのひとつです。

経営者や店長にとって大切なのは、自分のお金に対する考え方が判断に影響していないかを客観的に見ることなのかもしれません。
 

お金に対する認識が判断に影響する

営業、店長、経営者。

立場は違っても、お金に対する考え方が判断に影響するという点は共通しています。

例えば、お金に対して強い不安や苦手意識を持っていると、

  • 価格を上げられない
  • 必要な投資をためらう
  • 安さで勝負しようとする

といった判断につながることがあります。

もちろん慎重な判断は大切です。

ただ、それが事実に基づく判断なのか、それとも不安から生まれた判断なのかは、一度立ち止まって考えてみる価値があります。



行動経済学では、人は利益を得る喜びよりも、損失を避けることを優先する傾向があるとされています。

そのため、

「値上げしたらお客様が離れるかもしれない」

「投資して失敗したらどうしよう」

という不安が強くなり、本来必要な判断まで先送りしてしまうことがあります。

経営の現場では、お金そのものよりも、お金に対する認識が意思決定に影響している場面が少なくありません。

だからこそ、自分がお金をどう捉えているのかを客観的に見てみることが大切なのだと思います。

人は慣れていない状態を手放そうとすることがある

人は変化を望みながらも、実際には慣れている状態を維持しようとする傾向があります。

これはお金に関しても同じです。

例えば、これまで扱ったことのない金額を前にすると、不安や居心地の悪さを感じることがあります。

その結果、無意識のうちに元の状態へ戻ろうとすることがあります。

必要以上にお金を使ってしまったり、

「こんな金額はいただけない」と値引きをしてしまったり、

本来受け取れるはずの利益を自ら減らしてしまったり。

もちろん、すべての人がそうなるわけではありません。

ただ、人は慣れていない環境や状況に違和感を覚えるため、無意識にその状態を手放そうとすることがあります。



経営においても同じです。

利益が出ることに慣れていないと、価格設定や投資判断の場面で、自ら利益を減らす選択をしてしまうことがあります。

だからこそ、自分が何に違和感を感じているのかを知ることは大切です。

その違和感は、市場の問題ではなく、自分自身の基準から生まれているのかもしれません。

認知バイアスは見直すことができる

私自身、お金に対する考え方が変わるまでには時間がかかりました。

何か特別な方法があったわけではありません。

自分がお金に対してどんな考え方を持っているのかを、一つずつ見直していっただけです。

「なぜ高いと感じるのだろう」

「なぜ値上げに抵抗があるのだろう」

「なぜこの金額を受け取ることに違和感があるのだろう」

そんなことを考えながら、自分の思い込みを整理していきました。

行動経済学では、人は合理的に判断しているようで、実際にはさまざまな認知バイアスの影響を受けていると考えられています。

だからこそ、自分の判断を客観的に見直すことが大切です。

私が実践してきたのは、例えばこんなことです。

・お金に対する不安や思い込みを書き出してみる

・価格設定の根拠を改めて考える

・貯蓄や投資について学ぶ

・自分とは異なる考え方を持つ人の話を聞く

・価値と価格の関係を考える



すぐに考え方が変わるわけではありません。

ただ、少しずつ視点を広げていくことで、以前とは違う判断ができるようになります。



経営者にとって大切なのは、お金を好きになることではなく、お金に対する思い込みに気づくことなのかもしれません。

経営をしていると、数字だけでは説明できない判断をする場面がたくさんあります。

だからこそ、「事実」と「思い込み」を分けて考えることは大切なのかもしれません。

私自身もまだ勉強中ですが、行動経済学や心理学を学ぶほど、自分の認知バイアスに気づかされることが増えています。