はじめてWeb学科の先生になった話 ― 専門学校でWebを教えてみて感じたこと

こんにちは。Webデザイナーの佐光智子です。

今回は、私が専門学校で“Web講師”をしてみて感じたことを書いてみます。

これからWebの先生になる方や、授業づくりに悩んでいる方に向けて、最初に知っておくと少し気持ちが楽になることを、私なりにまとめてみました。

正解をきれいに語れるほど、まだ整理しきれているわけではありません。
ただ、実際に授業に立ってみて、「これは最初に知っておきたかったな」と思うことはいくつかあります。

どこかの誰かの背中を、少しだけ押せたらうれしいです。

シラバスは、最初から完璧に作らなくてもいい

まず最初に悩んだのが、シラバスでした。

  • どんな勉強を入れたらいいのか。
  • どんな本を参考にしたらいいのか。
  • HTMLから始めるべきなのか、デザインから入るべきなのか。

しかも今はAIも入ってきています。

「これからのWebを、どんな順番で教えるのが正解なんだろう」と考えるほど、手が止まりました。


ただ、私の中でひとつだけ決めていたことがあります。

それは、Webは楽しくないと続かない、ということです。

Web制作というと、HTMLから始める、バナーから始める、という流れが一般的かもしれません。
でも、最初からコードだけを追いかけると、「自分が何を作っているのか」が見えにくくなる学生もいます。

そこで私は、まずノーコードに近い形で、WordPressのデモサイトを作ってもらうところから始めました。

一人ずつサーバーを借りてもらい、実際に自分の場所にホームページを作ってみる。

もちろん、初歩の初歩です。
デザインも構成も、まだまだこれからです。

それでも、「ホームページができた」という小さな成功体験が先にあると、その後のHTMLやCSSの意味も少し見えやすくなるのではないかと思いました。

結果として、1年生の授業は、初歩の詰め合わせのようなシラバスになりました。

今思うと、かなり手探りでした。
でも、最初から完璧なシラバスを作るより、学生の反応を見ながら調整できる余白を残しておくことのほうが大事だった気がします。

シラバス通りには進まない

前期と後期で、なんとなくシラバスを作って授業を始めました。

でも、すぐに思いました。

シラバス通りには進まない。

これは、かなり早い段階で実感しました。

自分が「このくらいの時間で理解できるだろう」と思っていた内容でも、学生が理解して手を動かせるようになるまでには、2倍、3倍の時間がかかることがあります。

たとえば、こちらとしては「画像を差し替えるだけ」と思っていても、学生側では、

  • どこをクリックするのか。
  • 画像サイズはどう考えるのか。
  • 保存したものがどこにあるのか。
  • そもそも、前回のデータを開くところから不安がある。

そういうところで止まっていることがあります。

授業で間に合わなかった部分を「では課題にしましょう」と言っても、理解できていない学生は、家でやってくることができません。

これは、できる・できない以前に、どこから手をつけたらいいのかが分からないのだと思います。

後で聞いたのですが、シラバス通りに進まなくてもいいそうです。

それを知って、少し考え方が変わりました。

シラバスは、きっちり詰め込みすぎるより、やんわり時間を取って作る。
もし時間が余ったら、補足の授業をすればいい。

そのくらいの考え方で大丈夫でした。

授業は、予定表通りに進めることよりも、目の前の学生がどこで止まっているのかを見ることのほうが大事なのだと思います。

教えるときは「100点を取れる形」を作る

教え方についても、最初は本屋でいろいろ探しました。

でも、なかなか自分に合う本が見つかりませんでした。

1年目の後期になって読んだ本の中で、とても参考になった本があります。

それが教える技術という本です。


この本を読んで、私の中で授業の考え方が少し変わりました。

大事なのは、難しいことを一気に教えることではなく、学生が「できた」と感じられる状態を作ること。

つまり、100点を取れる成功体験を積ませることです。

みんながいつも100点を取れるようにする。
難しくしすぎない。
できるところまで、工程を小さく分ける。

これを考えるだけで、授業の作り方がかなり変わりました。

たとえば、いきなり「トップページを作りましょう」と言うと、何から始めればいいのか分からない学生もいます。

でも、

まず見出しを入れる。
次に写真を入れる。
その下に短い説明文を入れる。
最後に余白を整える。

というふうに分けると、途中で止まる場所が見えやすくなります。

Web制作の現場では、どうしても完成形から逆算して考えます。
でも授業では、完成形よりも「今どこまでできたか」を学生自身が分かることが大事なのだと思いました。

フィードバックは、早く取ったほうがいい

2年目は、1年生の授業後に毎回、Google Classroomでフィードバックを書いてもらうようにしました。

内容はシンプルです。

「今日、何を理解したか」
「何が分からなかったか」

これを毎回書いてもらいました。

これは、本当に早くやるべきだったなと思っています。

なぜなら、私が思っていた以上に、学生はWebについて理解していなかったからです。

授業中はうなずいていても、実際には分かっていないことがあります。
画面を見ながら手を動かしているので、一見できているように見えることもあります。

でも、フィードバックを見ると、

「保存場所が分からなかった」
「画像を入れるところまではできたけど、サイズの変え方が分からなかった」
「何となくできたけど、もう一度一人でできるか不安」

という声が出てきます。

これを読むと、次の授業で確認すべきことが見えてきます。

フィードバックの内容を次の授業で拾ったり、短い動画にして説明したりすることで、少しずつ分かりやすくなっていった気がします。

教える側が「伝えたつもり」でも、学生側には届いていないことがあります。

だからこそ、毎回の小さな確認は必要でした。

さいごに

専門学校のWeb講師という仕事は、本当に大変です。

授業の準備もありますし、学生の理解度も一人ずつ違います。
こちらが想定していた通りには進まないことも多いです。

人に教えるというのは、想像以上に頭を使います。

自分では分かっているつもりだったことも、言葉にして説明しようとすると、急にあいまいになります。

「この年になって、まだ人にうまく教えられないのか」と思うこともあります。

でも、学生ができなかったことをできるようになった瞬間に立ち会うと、やっぱりこの仕事には意味があるのだと思います。

そして気づくのは、いちばん勉強しているのは、教えている自分自身だということです。

もっと勉強したい。
もっと分かりやすくしたい。
でも本業も忙しい。

なかなか思うようにはいきません。

それでも、授業の中で見えたこと、迷ったこと、試してよかったことを、これからも少しずつ書いていこうと思います。

同じようにWeb講師として悩んでいる方にとって、少しでも参考になればうれしいです。