天然石と私

楽天ショップのメルマガを配信したあと、
ずいぶん前からのお客様が、あたたかい長文のメッセージと一緒に天然石をご購入くださいました。

その瞬間、胸の奥にしまっていた気持ちが弾けて、気がつけば涙がぽろぽろ…。
今日で楽天を卒業するとはいえ、苦しくて辞めるわけじゃない。
「一区切り」。そう思っていたはずなのに、
これまで積み重ねてきた時間や想いが、一気に込み上げてきました。

今日ご購入くださったお客様の中には、
「生理が4か月止まっていたのに、この石をつけたら嘘みたいに来たんです」
「閉店されるのがさみしいです」
そんな言葉を届けてくださった方もいて…。

それを読んだ瞬間、淡々と片付けようとしていた気持ちがゆっくり溶けて、
楽天ブログを書きながらまた涙がこぼれてしまいました。

明日は雪の予報で、配送がどうなるか心配も山ほどあるけれど、
そんなことよりも

「今月いっぱい、心を込めて楽天のお仕事をしよう」
そう素直に思えました。

 

天然石との出会いは、友人の死からでした。

ある日、突然ひどい悪寒に襲われ、その数日後、
目を閉じた瞬間「人が亡くなるビジョン」を見ました。

その後、本当に友人が亡くなって。

言葉にならない気持ちを抱えたまま、
仕事でお世話になっていたお客様に話していたら、
その時手元にあった中国の天然石のブレスレットを、そっと渡してくださいました。

そこから、人生が静かに動き出しました。

不思議な出来事が重なり、絶対合うはずのない、その友だちのご家族と話をしたり。
上海の仕事を任されるようになり、
仕事にもお金にも巡りが生まれて、

ある日、ブレスレットが切れたタイミングで“メンター”と出会いました。

その頃、亡くなった友人が夢に現れて、
「この人が全部教えてくれるよ」
と微笑んだこと、今でも忘れられません。

「自分がもらった救いの感覚を、誰かにも渡したい」
そう思ったのが、天然石の仕事を始めたきっかけです。

 

でも私は、石に執着できない人でした。

私って、天然石のことをたくさん知っていても、手元にいくらあっても、
「必要以上のものはいらない」
そんな性格なんです。

欲しい物が多いわけでもなくて、ただ、モノへの執着が薄い。
気づけば昔からそうでした。

身につけている天然石も、ほとんど変わっていません。
たくさん重ねてつけたいわけでもなくて、中国まで卸しに行っても、胸が高鳴ることはありませんでした。

“これだけ天然石に囲まれているのに、どうして私は執着しないんだろう?”
そんなふうに思ったこともあります。

ジュエリーも同じで、値段やブランドには興味がなくて、
「そこに、自分が心から欲しいと思える価値があるかどうか」
それだけが大事でした。

だからこそ、お店に来てくださる方の
「石を信じる気持ち」
を、私は濁さずに受け止められたのかもしれません。

私はいつも、直感に耳をすませて、
“あぁ、今はこれが合うんだろうな”
そんなふうに選んできただけなんです。

だから、楽天ショップを閉じるときも、きっと寂しくならないだろうと思っていました。

でも、メッセージをくれたお客さまの言葉や行動にふれた瞬間、胸の奥がほどけて涙が止まらなくなりました。

思っていた以上に、私はこの場所を大切にしていたんだなぁ…
そんなことに、ようやく気づきました。

 

楽天ブログの日々も宝物でした。

私が入ったころ、楽天には店長ブログなんてなかった気がします。
だから20代の私が書いた記事が今でも残っていて…読み返すと赤面もの(笑)

親が読んでいたのに、よくあれだけ書いたなぁと思います。

でも、ブログを書けば書くほど商品が動き、
気がつけば今の私の仕事も「文章」が支えてくれていて、
本当に私は「ブログに生かされてきたんだなぁ」と実感します。


中国をひとりで歩いた日々も、大切な思い出です。

中国語も話せないのに、ひとりで何度も中国へ。
東日本大震災のときは、中国で携帯も持たずにいて、現地の人から震災の話を聞きビックリしたし、
バッグをナイフで切られたこともありました。

「自分、どんだけ肝が据わってるんだろう…」
今思えば笑えるけれど、必死に生きていました。

海外輸入もたくさん挑戦して、たくさんの失敗もして、
でもそのすべてを「いつか返ってくる経験」だと考えています。

楽天につぎ込んだお金は、たぶん人生で一番(笑)
でもたぶん、それは、倍々になって帰ってくるのだと思います。

泣けるほど、たくさんの人に支えられました。

自分を信じて、ただ前へ進んできたけれど、
その自分を信じてくれる人たちがいたからここまで来られました。

天然石

スタッフのみんな、メンター、
中国で泣きながら電話した夜、
あの時の不安や心細さを支えてくれた人たち。

どれだけ感謝してもしきれません。

そして今、また新しい道が始まるんだと思います。

楽天を卒業することで、一区切りつきました。
でもこれは終わりじゃなくて、次の扉が開く前触れ。

また別の形で挑戦する日が来ると思うし、
天然石も流行が戻ったら、きっとどこかでまたお届けするかもしれません。

天然石には、神様が宿ると言われます。

それは、石そのものに神様がいるのではなく、
「信じる心」が石を光らせるから。

ただのアクセサリーと思えば、ただのアクセサリー。
でも、私もお客様も、
「この石には力がある」と本気で信じていたから、
石はちゃんと応えてくれた。

仕事でも人生でも、
いちばん大切なのは、
笑われてもいいから“純粋な気持ち”を持ち続けること。

そう教えてくれたのは、天然石の仕事でした。
ありがとう。本当に勉強になりました。