デザイナーの私が旅を続ける理由

自分が変わり続けるには脳に感動を与え続けるべきだ

私が読んだ脳科学の本に、こんな言葉が現れた。

人間は、言われなくてもそんなことはわかっている。

しかし、2008年、私の海外という体験は、沢山の刺激を私の頭にもたらした。

 

日本と違う色、違う文化、違う人間性。

柔軟な生き方選び方、創造性。

食も、恋愛も、仕事のやり方さえ違う。

 

日本ではまっすぐ走れと言わんばかりに、型にはまった事を好む人が多く、

何か見えない糸に引っ張られるように、デザインさえ型にハマって行く。

 

「自由にやりたい」と言う意識が薄れる事を、心から怖いと思うのと同時に、私の頭が年々固くなっていく。

なんだかわからない「常識」や「製品化されたような完璧さ」を求め彷徨。

理由や理論有りの世界にどっぷり浸かってしまう。

 

大金は人の目の届きやすい所に落ちてない。この言葉のように、感動や、思いつきだって、慣れ親しんだ日常にはあんまり落ちていない。

だから別に意味が無くったって、旅に出たいと思う。

そんな衝動は、きっと誰にでもあって、誰にでも手の届く優越感だと感じる。

 

 

サヴォア邸

パリ、イタリアへ1月23日〜31日まで行ってきました。

パリで一番感動したのは、このサヴォア邸でした。

パリからは少し郊外にある為、予定なくしてはなかなか行けません。しかし親友のおかげで、その度は始まったのです。

照明デザイナー小田綾子は本物のデザイナー

2005年から始まった私たちの交友関係は、当時私がフリーランスWEBデザイナーだった時から始まった。

三原の奥、久井町で出会った彼女は、独創的な発想を持ち、華奢ながら行動力がある姿が私の気を引いた。

その頃から仲がよい彼女は、いつも私を驚かせたり、イライラさせる。

けれど彼女は、そんなことを気にもしないで、私に付き合い、最後はいつも感動をくれる。

そんな彼女を私は敬愛している。

 

ある秋の日、彼女とパリ、イタリアへの計画は始まり、1月という寒い季節にパリへ飛んだ。

予定は曖昧に組み立ててあったが、ある日の彼女の突拍子もない発言が朝おこる。

「サボォア邸に行こう!」

しかし、そんな予定はどこにもない。今初めて聞いたばかりだ。

「はぁ?」

不機嫌に発した言葉の意味はここにある。

彼女はサヴォア邸にいきたいと、急に思い立ち、下調べもなしに誘ったのだ。

サヴォア邸はパリの郊外にある。移動距離が長く、乗り換えもある為、英語もフランス語も話せない私たちが段取りなしに行くのは厄介だった。

自分の気分だけで動こうとする彼女に、私は嫌悪感がこみ上げそれが声になった。

これまでそんな急な発言をなんども聞き、そして交友関係を深めてきた私には、彼女がやることの先には必ず楽しいことがあると知っていたにも関わらず。

どうにも気分が落ち着かないので、一旦それを「別行動」という選択肢に納めた。

しかし不安な彼女は

「ねぇ、本当に一緒に行かない!?」

と顔を歪めて言う。

そんな言葉で、私たちはサヴォア邸に向かうことになった。

案の定、電車を乗り過ごし、バスを逃し、私たちは拙い英語で駅員さんに甘えながら完全なる場所に辿りついた。

サヴォア邸

今となっては、その全てが綺麗で、素敵な一番の感動となっている。

デザイナーとは、自分で自分の脳に新しい感動を常に入れ続けなくてはない。

その時に感じたことや思うことを大切にして生きている。

しかもしれは、行動を伴ってこそ価値になる。

それを小田綾子というデザイナーはいつも私に教えてくれる。

 

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彼女との旅行は2007年に行った東京から始まった。

私はなんとなく誘われて、付いて行く決心をした。それだけ。

東京では、全く手の届かない値段で売られている家具屋を見るため、死ぬほど青山を歩かされた。

何がなんだかわからず、やっぱり彼女の急な発想でいろいろな場所へ出かけたことを覚えている。

 

しかしその後、私は東京や上海の仕事をした。彼女が私の「福山」と言う概念を壊したに違いない。

パリ、イタリアへの旅行中「あの頃、二人とも暇だったね〜」と話しながら過ごしていた。

 

見たことが、経験や知識、知恵になる。

結局、人は体験し本物を見なければ、成長できないのだ。

脳が感動し、初めて新しい発想が生まれる。

新しいものはなかなか創れず、考えるのも難しい。

だったら、とりあえず、今あるものを見て、何かを気づいた方がいい。

 

自分の思うこと、気持ちを語って、枠にとらわれずにいたい。

そういう気持ちを心に持ち続けたい。

だから、私は、旅をする。この先もずっと。

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